【魔女になる方法】はじめての魔女学 中級編2:魔術にはハーブが欠かせない
魔女というと、大鍋でグツグツとあやしい物を煮込む姿をイメージするかもしれません。
でも、安心してください、鍋の中身はたいていハーブ(薬草)などを材料にした体によいスープやお茶なのです。
今回はハーブと魔術について学びましょう。
魔女は村の“賢い女”?
中世ヨーロッパの村々には重宝される女性、ワイズウーマン(賢い女)がいました。
人間や動物の病気を治す、出産を手伝う、なくしものを見つける、悩み事をきく、場合によっては呪術師や占い師の役割もこなすなど、八面六臂の活躍ぶりです。
村人からの信頼も厚かったはず。
手を触れるだけで癒してしまう生まれつきのヒーラーもいました。
そこまでのレベルではなくても、ワイズウーマンは患者の心理を読むことも得意です。
治療をするときに呪文を唱えたり、魔除けの歌を口ずさんだりしてみせたから、患者は自分の病気が魔法のパワーで治るにちがいないと信じることができました。
治療者を本物の魔女だと思い込んだ患者もいるかもしれません。
この時代、医療を司っていた教会にすると、ワイズウーマンの存在はうとましいものでした。
けれど、村人には高額の薬はとても買えなかったので、身近で治療してもらえて助かったのです。
魔女が作るハーブの秘薬とは
魔女はハーブに精通していたので、頭痛に対して辛子を浸した足湯、あるいはセージの湯でこめかみを濡らすなどと、ひとつの病気に何通りもの処方ができました。
頼まれれば、秘伝のレシピで惚れ薬や若返りの秘薬を作ります。
材料の草の根、木の実、きのこを目当ての森や野に出かけて調達し、鍋や釜で煮たものを飲用するか、粘液状の軟ぬり薬にして皮膚にぬります。
煎じる場合は、ハーブに魔法をかけた後にお湯を注いでこしておきます。
ハナハッカ
産婆を務めるとき、魔女はハナハッカを持っていきました。
この葉は妊産婦の気持ちをしずめて眠らせる働きをします。また、根っこを乾燥させたものはにおいが強烈で、魔除けに使われます。
別名のオレガノでも有名ですね。
ローズマリー
魔女にとってローズマリーも重宝するハーブです。
呪術を行うときにはローズマリーを焚いて独特の香りで悪い気を払いました。煙は病気の予防に役立ってくれます。
現代でもおまじないでドアにつるしたり、クリスマス飾りつけたりして、ローズマリーに魔除けの力を期待します。
ハーブ魔女を目指すならしっかり学んで
魔女が野で取ってくる薬草は保存がきかないし、大鍋やすり鉢で作れる量はたかが知れています。化学薬品の時代がくると、魔女の薬草は過去の遺物になりました。
ところが、近年、薬草による自然療法の方が副作用の心配がなくて安心できる、体質に合わせられて効果があるなどと言われて、薬草への注目が高まっています。
薬草摘みが根づいているドイツでは「ハーブ(薬草)魔女」、ハーブを予防医学に活用する英国では「ハーバリスト」の名で、既存の薬を避けてハーブの薬効を選ぶ人が増えています。
魔女として薬草を用いるにしても、薬草のスペシャリストになるにしても、本を読んだり、戸外や植物園で実際に薬草に触れたりしながら、きっちりと学ぶことが必要です。